プログラムロードマップの作り方
プログラムの資料でよく見るのが、横長の線表です。プロジェクトが何本か並び、それぞれに期間の帯が引いてある。いわゆるロードマップです。
ただ、そこに成果を測る日が書かれていないことが少なくありません。作業の予定表になってしまっているのです。

■ 書く順番が決まっている
ロードマップは、左から順に埋めていくものではありません。次の順番で置きます。
最終成果を測る日を置く(一番右)
その手前に、旧運用を止める日を置く
さらに手前に、使い始める日(展開完了)を置く
そこから逆算して、各プロジェクトの期間を置く
途中に中間指標を測る日を1〜2回置く
ポイントは1番目と2番目です。多くのロードマップは「システム稼働」で終わっています。しかし成果が出るのは、旧運用が止まり、全員が新しいやり方になってからです。ここを書いていないと、稼働後の数か月が計画に存在しないことになります。
■ 何を1行にするか
ロードマップの行は、プロジェクトとは限りません。成果につながる「かたまり」で分けます。
行にするもの | 例 | なぜ分けるか |
|---|---|---|
システム側の構築 | 受注システム改修 | 技術的な依存でまとまっている |
業務側の変更 | 倉庫作業手順の見直し | 担当部署が違う。別に進む |
人への展開 | 研修・切替 | システムと業務の両方が終わってから |
旧のたたみ方 | 並行運用の終了、旧帳票の回収 | 忘れられやすい。独立させて見える化する |
成果の確認 | 指標の測定 | 作業ではないが、日付が要る |
4行目と5行目を独立した行にするのが、プログラムのロードマップの特徴です。これがあるかどうかで、計画の性格が変わります。
■ 粒度は「四半期」で十分
ロードマップに日付を細かく入れようとすると、作るのに時間がかかり、しかもすぐ古くなります。プログラムの期間は1〜3年です。この長さでは、週単位の精度は意味を持ちません。
使う場 | 粒度 | 更新の頻度 |
|---|---|---|
プログラムのロードマップ | 四半期、または月 | 四半期に1回 |
各プロジェクトの計画 | 週、または日 | 週に1回 |
細かいことは各プロジェクトの計画に任せます。プログラム側が見るのは、ずれが他のプロジェクトに影響するかどうかだけです。
■ 「いつ効果が出始めるか」を分けて書く
成果は、最後に一気に出るとは限りません。途中から少しずつ出ることもあります。これを分けて書けると、ロードマップの説得力が上がります。
第2四半期:先行した2拠点で、処理時間の短縮が確認できる
第3四半期:全拠点に展開。全体の処理時間が下がる
第4四半期:旧運用を止め、人員の再配置が可能になる
経営層への説明では、この「いつから効き始めるか」が最も関心を持たれます。投資した金額が、いつから回収され始めるかの話だからです。
■ 組み替える前提で作る
プログラムは1年以上続きます。途中で状況が変わり、優先順位も変わります。だからロードマップは、組み替えられる形にしておきます。
やりがちな作り | 組み替えやすい作り |
|---|---|
全部が一本の線でつながっている | 行ごとに独立していて、順番を入れ替えられる |
最後の1回で全部が完成する | 途中で一度、使える状態になる区切りがある |
止めると全部が無駄になる | Cを止めてもAとBの効果は残る |
右側の形にしておくと、予算が削られたときに「では、Cを次年度に回します」という判断ができます。左側だと、全部止めるか全部続けるかの二択になってしまいます。
■ まとめ
プログラムのロードマップは、成果を測る日から逆算して作ります。行には、システムだけでなく、業務の変更、人への展開、旧運用の停止、成果の確認を入れる。粒度は四半期で十分です。
いま手元にロードマップがあるなら、「成果を測る日」が書かれているか見てみてください。なければ、まずその1行を足すところから始められます。