構成プロジェクトの切り方
プログラムを立ち上げるとき、最初に決めるのが「いくつのプロジェクトに分けるか」です。ここでの切り方が、その後1年以上の動かしやすさを決めます。
よくあるのが、工程で切る方法です。要件定義を1本、開発を1本、テストと移行を1本。分かりやすく見えますが、プログラムとしてはうまく動きません。

■ 工程で切ると、何が起きるか
工程で切った場合、最後まで何も使えません。つまり、成果が出るのは全部終わったあとです。
これは3つの問題を生みます。
途中で効果を確認できない。うまくいっているか分からないまま1年が過ぎる
1本でも遅れると、後ろが全部止まる
予算を削られたとき、削れるのが「テスト」しかない
3つ目は実際によく起きます。「予算が2割減りました」と言われたとき、工程で切っていると、品質を落とす以外に手がありません。
■ 成果で切ると、判断ができる
一方、成果で切ると、それぞれのプロジェクトが要件から稼働までを含みます。期間は短くなり、終わった時点で何かがよくなります。
この形なら、途中でこういう判断ができます。
状況 | 取れる判断 |
|---|---|
予算が削られた | 効果の薄いPJ3を翌年度に回す |
PJ1の効果が想定より大きい | 同じやり方を他部署にも広げる |
PJ2が技術的に難しいと分かった | PJ3を先に進め、PJ2は方式を練り直す |
経営陣から進捗を問われた | すでに出ている効果を数字で示せる |
プログラムマネジメントの価値は、こうした組み替えができることにあります。切り方を間違えると、その価値がなくなります。
■ 切るときの3つの基準
基準 | 確かめ方 |
|---|---|
単独で価値が出るか | これだけ終わったら、何かよくなりますか? |
責任者を1人置けるか | このプロジェクトの成否を、誰の名前で語れますか? |
止められるか | これを中止したとき、他は生き残りますか? |
3つ目が、実はいちばん厳しい基準です。「止めたら全部が無駄になる」なら、それは独立したプロジェクトではありません。1つの大きなプロジェクトの一部です。
■ 分けすぎにも注意する
逆に、細かく分けすぎる失敗もあります。プロジェクトが10本を超えると、今度は管理そのものが重くなります。
本数 | 起きやすいこと |
|---|---|
2〜3本 | 管理は楽。ただし1本が大きすぎて、中が見えないことがある |
4〜7本 | 扱いやすい。多くのプログラムはこの範囲 |
8本以上 | 会議と報告が増えすぎる。中間の層を作る必要が出る |
目安として、1本あたり3〜6か月、全体で4〜7本。この形に収まれば、たいていうまく回ります。
■ 共通基盤をどう扱うか
悩ましいのが、複数のプロジェクトが使う共通部分です。認証の仕組み、データ連携の基盤など。これ単独では効果が出ませんが、なければ他が動きません。
扱い方は2つあります。
最初のプロジェクトに含める:PJ1の中で作り、PJ2以降はそれを使う。責任がはっきりする
独立した「土台」として置く:ただし効果が出ないので、成果の評価対象からは外す
おすすめは前者です。共通基盤を独立させると、「誰のためでもない作業」になり、優先順位が下がって遅れがちになります。最初に使う人が作るほうが、現実に合った物ができます。
■ まとめ
構成プロジェクトは、工程ではなく成果で切る。基準は「これだけ終わったら何かよくなるか」。本数は4〜7本、1本3〜6か月を目安にします。
いま手元にプログラムの構成図があるなら、各プロジェクトについて「これだけ終わったら何がよくなるか」を一言で書けるか試してみてください。書けない箱があれば、切り方を見直す価値があります。