進捗率の測り方を決める
進捗率80%という報告が、3週続いている。そんな経験はないでしょうか。
これは担当者が怠けているのではなく、測り方が決まっていないことが原因です。基準がなければ、人は自分の体感で数字を置きます。体感は、作業の後半になるほど実態からずれていきます。
■ なぜ80%で止まるのか
理由は2つあります。
ひとつは、作業の粒度が大きすぎること。「設計書の作成」のような単位だと、どこまで進んだかを数字にする根拠がありません。書き始めていれば「半分くらい」、見直しに入っていれば「8割」と答えるしかなくなります。
もうひとつは、残りの作業が見えていないこと。人は始めた作業を過大評価しがちで、レビュー指摘の反映、関連文書の更新、最終確認といった終盤の作業を数えていないことが多くあります。だから80%から先が長くなります。
■ 規則を先に決める
解決策は単純で、誰が見ても同じ数字になる規則を決めておくことです。代表的なものが3つあります。

どれが優れているという話ではなく、作業の長さと性質で選びます。数日で終わる作業に細かい規則を当てても管理の手間が増えるだけですし、3か月かかる作業を0/100ルールで扱うと、2か月間ずっと0%が続いて状況が見えません。
迷ったら、0/100ルールを基本にするのがおすすめです。もっとも厳格で、曖昧さが入りません。そのうえで、1〜2週間を超える作業だけ50/50やマイルストーン法に切り替えます。
■ そもそも、率で測らないという選択
実は、進捗率を使わずに済む方法があります。完了した成果物の数で見る方法です。
設計書20本のうち、完了は12本
画面45本のうち、単体テスト完了は31本
テストケース300件のうち、消化済みは210件(うち不合格8件)
この形なら、数字に解釈の余地がありません。分母と分子がはっきりしているため、集計も足し算で済みます。進捗率が機能しないプロジェクトでは、まずこの形に切り替えられないかを検討する価値があります。
切り替えの前提は、作業が成果物の単位に分解されていることです。ここができていない場合は、WBSの作り直しから入ることになります。手間はかかりますが、以降の進捗管理が楽になります。
■ 「完了」の定義を揃える
規則を決めても、完了の意味が人によって違えば数字はずれます。
設計書が「書き終わった」状態なのか、「レビューが終わった」状態なのか、「指摘が全部クローズした」状態なのか。この3つには、しばしば数週間の差があります。
プロジェクトの最初に、完了の定義を一行で決めて共有しておきます。たとえば「レビュー指摘がすべてクローズし、所定の場所に格納された状態」といった形です。これがあるだけで、「終わったはずなのに終わっていない」がかなり減ります。
■ 落とし穴 ― 全体進捗の出し方
各作業の進捗が測れるようになったら、次は全体をどう出すかです。
単純平均は避けます。1人日の作業と50人日の作業を同じ重みで足すと、実態とかけ離れた数字になります。工数で重みを付けて合計するのが基本です。
あわせて、全体進捗の数字だけを見ないことも大切です。全体が70%でも、クリティカルパス上の作業が止まっていれば、プロジェクトは前に進んでいません。全体の率は報告用、実際の判断は個別の作業を見る、という使い分けになります。
■ 導入するときの進め方
途中のプロジェクトで規則を変えるときは、抵抗が出ることがあります。「管理が厳しくなった」と受け取られやすいためです。
目的を先に伝える:数字を疑うためではなく、助けが必要な場所を早く見つけるためだと説明する
報告の手間を増やさない:規則を変えるかわりに、入力項目を減らす
最初の数週間は併走する:新しい規則で出した数字と体感がずれていないか、担当者と一緒に確認する
■ チェックリスト
進捗率の規則(0/100など)を決めて共有したか
作業が、規則を適用できる粒度に分かれているか
「完了」の定義を一行で決めたか
率ではなく成果物の数で測れないか検討したか
全体進捗を工数で重み付けしているか
全体の率だけで判断していないか
進捗率は、精度を求めるほど手間が増えます。目的は正確な数字を作ることではなく、遅れに早く気づくことです。その目的に対して十分な精度はどこかを考えると、運用の落としどころが見えてきます。