クリティカルパスとは?遅れてはいけない作業を見極める方法
クリティカルパスとは
クリティカルパスとは、プロジェクトの開始から終了までをつなぐ作業の経路のうち、最も時間がかかる経路のことです。この経路上の作業が1日遅れると、プロジェクト全体の完了も1日遅れます。
クリティカルパスを見つけ、そこに管理の力を集中させる手法をクリティカルパス法(CPM:Critical Path Method)と呼びます。限られた管理の時間を、本当に重要な作業に振り向けるための基本技術です。
なぜクリティカルパスが重要なのか
どの遅れが致命的かが分かる:すべての作業の遅れが、プロジェクト全体の遅れにつながるわけではありません。
管理の重点が決まる:クリティカルパス上の作業を優先的に監視し、リソースを配分できます。
短縮の打ち手が見える:納期を短縮したいときに、どの作業を短縮すれば効果があるかが分かります。
例で理解する
次のような5つの作業からなるプロジェクトを考えます。
作業 | 所要日数 | 先行作業 |
|---|---|---|
A:要件定義 | 3日 | なし |
B:画面設計 | 5日 | A |
C:データ設計 | 2日 | A |
D:データ移行準備 | 4日 | C |
E:結合テスト | 3日 | B、D |
┌─ B(5日) ──────────────┐
A(3日) ─┤ ├─ E(3日)
└─ C(2日) ── D(4日) ────┘開始から終了までの経路は2つあります。
A → B → E:3 + 5 + 3 = 11日
A → C → D → E:3 + 2 + 4 + 3 = 12日
最も長い A → C → D → E(12日)がクリティカルパスで、プロジェクトの最短完了日数は12日になります。
余裕時間(フロート)
クリティカルパス上にない作業には、全体の完了日を遅らせずに遅れてもよい余裕時間(トータルフロート)があります。
上の例では、作業Bの経路は11日で、クリティカルパスより1日短いため、Bには1日の余裕があります。
クリティカルパス上の作業(A、C、D、E)の余裕は0日です。
余裕時間の求め方
フォワードパス:開始から順に、各作業の最早開始日(ES)と最早終了日(EF)を計算します。
バックワードパス:終了から逆にたどり、各作業の最遅終了日(LF)と最遅開始日(LS)を計算します。
余裕時間 = LS − ES(または LF − EF)で求めます。余裕が0の作業をつないだものがクリティカルパスです。
作業 | ES | EF | LS | LF | 余裕 |
|---|---|---|---|---|---|
A | 0 | 3 | 0 | 3 | 0 |
B | 3 | 8 | 4 | 9 | 1 |
C | 3 | 5 | 3 | 5 | 0 |
D | 5 | 9 | 5 | 9 | 0 |
E | 9 | 12 | 9 | 12 | 0 |
クリティカルパスの求め方(手順)
WBSから作業(アクティビティ)を洗い出す
作業の依存関係を決める:どの作業が終わらないと、どの作業を始められないか
各作業の所要期間を見積もる
ネットワーク図を作成する:作業を依存関係に沿って矢印でつなぎます
最も長い経路を特定する:フォワードパスとバックワードパスで余裕時間を計算します
実務では、プロジェクト管理ツールやガントチャートツールが自動で計算してくれることも多くあります。
スケジュールを短縮する2つの方法
方法 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
クラッシング | クリティカルパス上の作業に要員や費用を追加して、期間を短縮する | コストが増える。人を増やしても短縮できない作業もある |
ファストトラッキング | 本来は順番に行う作業を、一部並行して進める | 手戻りのリスクが高まる |
どちらも、クリティカルパス上の作業に対して行わなければ効果がありません。余裕のある作業を短縮しても、全体の完了日は早まりません。
よくある失敗と注意点
クリティカルパスは変わる:作業が遅れたり、計画が変わったりすると、別の経路がクリティカルパスになることがあります。定期的に確認します。
ニアクリティカルパスに注意:余裕が少ない経路は、少しの遅れでクリティカルパスになります。
リソースの制約を見落とす:同じ担当者が複数の作業を抱えていると、計算上は並行できても実際にはできません。リソースの制約を考慮した計画(クリティカルチェーンなど)も検討します。
余裕時間を使い切る:余裕があると作業を後回しにしがちです(学生症候群)。余裕は、本当に必要なときのために残しておきます。
まとめ
クリティカルパスは、プロジェクトの中で最も時間がかかる作業経路であり、その遅れは全体の遅れに直結する
余裕時間(フロート)を計算することで、管理の重点と、遅れても影響のない作業が分かる
短縮するときは、クリティカルパス上の作業にクラッシングやファストトラッキングを適用する