SCQ(SCQA)とは?「解くべき問い」を正しく立てる方法
SCQとは
SCQは、元マッキンゼーのバーバラ・ミントが著書『考える技術・書く技術(ピラミッド原則)』で紹介した、「解くべき問い」を正しく設定するためのフレームワークです。Situation(状況)、Complication(複雑化・問題)、Question(問い)の3要素で構成され、答え(Answer)を加えてSCQAと呼ばれることも多くあります。
問題解決では、答えを出す力以上に「何に答えるべきか」を見極めることが重要です。SCQは、聞き手と前提をそろえながら、自然に問いへと導くための型です。
3つの要素(+答え)
S:Situation(状況)
聞き手がすでに知っていて、異論のない事実を述べます。
例:「当社は10年前から、基幹システムを自社開発で運用してきた」
新しい情報や主張は入れず、「そうだよね」とうなずける共通認識を作ることがポイントです。
C:Complication(複雑化・問題)
その安定した状況を揺るがす変化や問題を述べます。
例:「しかし、保守担当者の退職が続き、法改正への対応も遅れ始めている」
「しかし」「ところが」でつながる、緊張感を生む部分です。ここが弱いと、問いが切実になりません。
Q:Question(問い)
SとCから自然に浮かぶ疑問です。
例:「では、基幹システムを今後どのように維持・刷新すべきか?」
聞き手が「まさにそれが知りたい」と思う問いになっていることが大切です。
A:Answer(答え)※SCQAの場合
問いに対する結論です。
例:「3年以内に、クラウド型パッケージへ段階的に移行すべきである」
この答えが、そのままピラミッド構造の頂点(メインメッセージ)になります。
なぜSCQが有効なのか
問いのズレを防ぐ:状況と問題を明文化することで、「そもそも何を解くのか」を関係者とそろえられます。
聞き手を引き込む:共感(S)→ 緊張(C)→ 関心(Q)という流れで、結論を聞く準備が整います。
結論の必然性が伝わる:「なぜこの提案なのか」が、前提から論理的につながって伝わります。
4つの並べ方
伝える相手や場面に合わせて、順番を変えて使います。
型 | 順番 | 向いている場面 |
|---|---|---|
標準型 | S → C → Q → A | 背景から丁寧に説明したいとき |
結論先行型 | A → S → C | 忙しい経営層への報告 |
問題先行型 | C → S → A | 危機感を共有したいとき |
問い先行型 | Q → S → C → A | 関心を引きたいプレゼンの冒頭 |
ビジネス文書では、結論先行型がよく使われます。
よく出てくる問いのパターン
C(問題)の種類によって、問いの型はある程度決まります。
「どうすればよいか」:目標はあるが、達成する方法が分からない
「どちらを選ぶべきか」:複数の選択肢があり、判断が必要
「なぜ起きたのか」:問題が起きているが、原因が分からない
「この案は正しいか」:すでに案があり、その妥当性を確かめたい
SCQを作るときのコツ
聞き手を決める:誰にとっての「既知の状況」かによって、Sの内容は変わります。
SとCを具体的に書く:数字や事実を入れると、問いの切実さが増します。
Qは一つに絞る:問いが複数あると、結論がぼやけます。
QとAが対応しているか確認する:「どうすべきか」という問いに「原因は〇〇だ」と答えていないかをチェックします。
よくある失敗と注意点
Sに主張や新情報を入れる:聞き手が引っかかり、前提がそろわなくなります。
Cが弱い:「特に問題はないが…」では、問いを考える動機が生まれません。
Qが大きすぎる・曖昧すぎる:「会社をどうすべきか」では答えようがありません。答えられる大きさの問いにします。
答えを先に決めて問いを後付けする:問いが答えに都合よく歪み、説得力が落ちます。
他のフレームワークとの関係
ピラミッド原則:SCQAのAをメインメッセージとし、その根拠を階層的に組み立てることで、論理的な文書や資料になります。
3C分析・SWOT分析など:これらは「答えを出すための分析」の道具です。SCQは「何を問うか、どう伝えるか」の道具なので、組み合わせることで提案や報告の質が高まります。
PMの実務への応用
プロジェクト憲章・企画書:背景(S)、課題(C)、プロジェクトの目的(Q)、提供価値(A)として、冒頭の構成にそのまま使えます。
ステアリングコミッティへの報告:「計画どおり進行中(S)、しかしベンダーの遅延が発生(C)、リリース日を守るにはどうするか(Q)、追加要員で対応する(A)」と整理すると、意思決定が速くなります。
課題管理:課題をSCQの形で記述すると、「何が問題で、何を決める必要があるか」が明確になります。
要件定義の初期:顧客の要望を聞く前に解くべき問いを定義することで、要件のブレを防げます。
まとめ
SCQは、状況(S)・問題(C)・問い(Q)の流れで、解くべき問いを正しく設定するフレームワーク
答え(A)を加えたSCQAは、報告・提案・プレゼンの構成として幅広く使える
聞き手と前提をそろえ、問いと答えを正しく対応させることが、伝わる提案の第一歩