ステークホルダーマップの作り方と使い方
プログラムは、プロジェクトより関係者が多くなります。複数の部署、複数の会社、そして経営層。全員に同じように接していると、時間がいくらあっても足りません。
そこで、誰にどれだけ時間を使うかを決めます。そのための道具が、ステークホルダーマップです。

■ 2つの軸で分ける
軸は、影響力と関心の2つです。
影響力:この人が反対したら、計画が止まるか
関心:この人は、この取り組みを気にしているか
組織図上の役職とは別物です。役職が高くても関心が薄い人はいますし、役職がなくても現場で強い影響力を持つ人がいます。実際に何が起きるかで判断します。
■ いちばん危ないのは左上
図の左上、影響力が大きいのに関心が低い人。ここが最も見落とされます。
ふだんは何も言いません。会議にも出てきません。ところが終盤になって、「そんな話は聞いていない」と言い出すことがあります。そしてこの人には、計画を止める力があります。
対策は簡単です。早い段階で一度、15分だけ時間をもらって話しておく。
何をやろうとしているか(3行で)
あなたの部署にどう影響するか
いつ、何を相談させてもらうか
この15分があるかないかで、終盤の展開が大きく変わります。
■ 右上には、悪い知らせを早く
意思決定者(右上)との付き合い方で最も大事なのは、悪い知らせを早く伝えることです。
遅れや問題を報告するのは気が重いものです。もう少し様子を見てから、と思いたくなります。しかし、後になるほど打てる手が減ります。そして、他のルートから先に耳に入ると、信頼を失います。
目安として、自分が「まずいかもしれない」と感じたその週のうちに伝えます。まだ確定していなくても構いません。「今の見立てでは」と前置きして伝えます。
■ 右下は、味方になってもらう
右下(影響力は小さいが関心が高い)は、実際にシステムを使う現場の担当者です。決定権はありませんが、ここが動かないと成果が出ません。
接し方の基本は、聞くことと、反映することです。前の記事で触れたとおり、1件でも意見を実際に反映して、それを伝える。これで協力が得られます。
■ マップは、四半期に一度見直す
関係者の位置は変わります。人事異動があり、関心の度合いも変わります。
変化の例 | 対応 |
|---|---|
関心が低かった部長が、異動で新しい人に | あらためて説明の場を持つ |
現場の担当者が、反対派から協力者に | 他部署への展開で協力を依頼する |
成果が見え始めて、経営層の関心が上がった | 報告の頻度と内容を見直す |
四半期の見直しのときに、マップを1枚更新する。5分で終わります。
■ 書き方の注意
このマップは、人の評価をする表ではありません。接し方を決めるための整理です。
そのため、扱いには少し気を使います。
本人の目に触れる場所には置かない
「反対派」といった感情的な言葉を書かない
プログラムの限られた人だけで共有する
書くのは、影響力・関心・いま何を気にしているか・次に何を伝えるか。この4つで十分です。
■ まとめ
関係者は影響力と関心の2軸で分け、接し方を変える。特に「影響力が大きく関心が低い人」に、早い段階で15分もらっておく。意思決定者には悪い知らせを早く、現場には意見を聞いて反映する。
いま関わっているプログラムで、終盤に「聞いていない」と言いそうな人が思い当たるか考えてみてください。思い当たるなら、来週その人に会いに行く価値があります。