組織の変化を伴うプログラムの進め方
プログラムの多くは、業務のやり方を変えることを含みます。そして、やり方が変わるということは、その仕事をしている人の毎日が変わるということです。
ここで必ず起きるのが、反発です。「今のやり方で困っていない」「仕事が増えるだけだ」。これを「抵抗勢力」と呼んで押し切ろうとすると、たいてい失敗します。

■ 反発は、途中の段階
図のとおり、人が新しいやり方を受け入れるまでには段階があります。②の反発は、通過点です。反発が出ているのは、少なくとも関心を持たれている証拠でもあります。
本当に困るのは、何も言われないまま、現場で旧のやり方が続くことです。この場合、稼働してから3か月後に「実施率が30%」と分かります。そのときにはもう、直す時間がありません。
■ 反対の理由は、たいてい具体的
「変わりたくない」という感情論に見えても、掘ってみると具体的な理由が出てきます。
表に出る言葉 | よくある本当の理由 |
|---|---|
今のやり方で困っていない | 新しいやり方を覚える時間がない。本業が忙しい |
現場を分かっていない | 例外的なケースの扱いが決まっていない |
前もこれで失敗した | 過去に同じような取り組みが途中で止まった経験がある |
自分の仕事がなくなる | 評価や役割がどうなるか説明されていない |
右側はどれも、説明や設計で対応できることです。感情論として扱うと打ち手がありませんが、具体的な不安として扱えば、ひとつずつ対応できます。
だから、反対意見が出たら聞きます。「どのあたりが一番やりにくそうですか」と。
■ 決める前に相談する
「聞いていない」を防ぐ方法はひとつしかありません。決まる前に話すことです。
完成した計画を発表するのではなく、途中で相談する。
企画段階で、現場の代表数人に構想を話して意見をもらう
設計段階で、実際の作業手順を一緒に考える
試行段階で、出た意見を反映し、「これを直しました」と伝える
3つ目が特に効きます。意見を聞いても反映されなければ、次からは意見が出なくなります。1件でも実際に直して、それを伝える。これで協力が得られるようになります。
■ 味方を先に作る
全員を同時に説得することはできません。順番があります。
順番 | 対象 | やること |
|---|---|---|
1 | 現場で信頼されている人(役職は問わない) | 早い段階で相談し、一緒に考える側になってもらう |
2 | 新しいことに前向きな人 | 先行して試してもらい、良かった点を語ってもらう |
3 | 様子を見ている多数 | 1と2の人の声で動く。説明は繰り返し行う |
4 | 最後まで反対する少数 | 無理に説得しない。旧が止まれば、最終的には移る |
1行目の「現場で信頼されている人」は、必ずしも管理職ではありません。困ったときに周りが聞きに行く人です。その人が「これはいい」と言うかどうかで、展開の速度が大きく変わります。
■ 上からの号令だけでは動かない
経営層からの明確なメッセージは必要です。ただ、それだけでは現場は動きません。号令は「やらないといけない」を作りますが、「やってみよう」は作らないからです。
必要なのは両方です。
上から:なぜこれをやるのか、会社として本気であること
横から:同じ立場の人が「やってみたら楽になった」と言っていること
2つ目を作るために、先行導入した部署の声を集めて共有します。数字より、具体的な一言が効きます。「今まで月末に2日かかっていた集計が、半日で終わるようになりました」といった形です。
■ まとめ
組織の変化を伴うプログラムでは、反発は途中の段階と捉える。反対の理由を具体的に聞き、決める前に相談し、出た意見を実際に反映する。そして、現場で信頼されている人を早い段階で味方にする。
いま進めているプログラムで、現場の代表と話す場が計画に入っているか確かめてみてください。入っていなければ、そこが後で一番の壁になります。