プログラム予算の組み方と見直し方
プログラムの予算を作るとき、各プロジェクトの見積もりを足し算して終わりにしてしまうことがあります。これだと、たいてい後で足りなくなります。
足りなくなる分は、プロジェクトの隙間にある作業です。誰の担当でもないので、誰も見積もっていません。

■ 抜けやすい3つの費目
共通費。PMOの人件費、共通の開発環境と検証環境、全社への説明会。これらはどのプロジェクトのものでもありません。プログラムの費目として立てておかないと、どこにも入りません。
データ移行と研修。特に研修は、業務部門の人の時間を使います。費用として計上されないことが多いのですが、実際には大きな負担です。「何人が、何時間、何回」で数えると、想像より大きな数字になります。
定着費。稼働後の手直し、追加研修、問い合わせ対応のための増員。稼働日で予算が切れる計画になっていると、ここで動けなくなります。成果が出るのは稼働の数か月後なのに、その期間の費用がない状態です。
■ 予備費はプログラムで持つ
不確実なことが多いほど、予備費が必要です。ここで大事なのは、予備費を各プロジェクトに配らないことです。
持ち方 | 起きること |
|---|---|
各PJに10%ずつ配る | それぞれが自分の枠として使い切る。全体では足りなくなる |
プログラムでまとめて持つ | 本当に必要なところに回せる。使うには申請が要る |
使うときのルールも決めておきます。「1件◯◯円まではプログラムマネージャー、それ以上は運営委員会」といった形です。
目安としては、全体の10〜15%。不確実性が高い(新技術、前例のない業務変更)なら20%を検討します。
■ 全部を最初に確定しない
プログラムは1〜3年続きます。3年先の作業を今の精度で見積もるのは無理があります。
そこで、段階的に確定させていきます。
時期 | 確定させる範囲 | それ以外の扱い |
|---|---|---|
プログラム開始時 | 全体の総額の枠(概算) | 幅を持った数字で示す |
各段階の開始時 | その段階の詳細予算 | 次段階以降は概算のまま |
ゲート通過時 | 次段階の予算を再見積もりして確定 | 実績をもとに精度を上げる |
この進め方は、経営層にも説明しやすい形です。「3年分の予算をください」ではなく、「まず1年目の◯円で、この成果まで到達します。次の判断はそのときに」と言えるからです。
■ 見直しのタイミング
予算の見直しは、思いついたときではなく、決まった時期に行います。
四半期に1回:実績と残りの見通しを更新する
ゲートのたび:次段階の予算を確定する
大きな変更が起きたとき:構成の追加・中止、前提の変化
四半期の見直しでは、次の3つを出します。
出すもの | 意味 |
|---|---|
使った額 | ここまでの実績 |
残りでやり切れるか | 完了までに必要な額の見通し |
差が出るなら、その理由 | 範囲が増えたのか、単価が上がったのか、見積もりが甘かったのか |
3行目を毎回書いておくと、次のプログラムの見積もりが良くなります。
■ 費用と成果を並べる
予算の報告では、費用だけを見せないでください。成果の見通しと並べて出します。
「予算を10%超過しそうです」だけでは、悪い報告にしかなりません。「予算は10%超過の見込みですが、リードタイム短縮の効果は想定の1.3倍になる見込みです」であれば、判断の材料になります。
逆に、予算内でも成果が出ていなければ、それは良い状況ではありません。費用と成果は必ずセットで見る。これがプログラムの予算管理の特徴です。
■ まとめ
プログラム予算は、構成プロジェクトの合計に共通費・定着費・予備費を足して作る。予備費はプログラムでまとめて持ち、全部を最初に確定させず段階的に決める。報告は費用と成果を並べて出す。
いまのプログラム予算に、稼働後3か月分の費用が入っているか確認してみてください。入っていなければ、成果が出る前に予算が切れることになります。