人をプロジェクト間でどう配分するか
プログラムで最も足りなくなるのは、お金でも時間でもありません。特定の人です。
業務に詳しい人、そのシステムを長く見てきた人、部門をまたいで話をつけられる人。こういう人は、だいたい1人か2人しかいません。そして、すべてのプロジェクトがその人を必要とします。

■ 各プロジェクトの線表では見つからない
図がその状態です。PJ1もPJ2もPJ3も、それぞれの線表では無理のない計画に見えます。Aさんへの依頼も「30%」「50%」と、常識的な範囲です。
けれども、同じ人の欄を横に並べると、6月と7月は100%を超えています。これは各プロジェクトマネージャーには見えません。自分の分しか見ていないからです。
この重なりを見つけるのが、プログラム側の具体的な仕事のひとつです。
■ 作り方は難しくない
専用のツールは要りません。次の手順で1枚の表を作ります。
プログラム全体で、取り合いになりそうな人を5〜10名挙げる(全員は要らない)
縦に名前、横に月を置いた表を作る
各プロジェクトマネージャーに、必要な割合を月ごとに書いてもらう
合計が100%を超えるマスに色をつける
3番目がポイントです。プログラム側で推測せず、必要とする側に書いてもらう。そうしないと、後から「そんなに要らないと言っていない」となります。
■ 重なりが見つかったときの打ち手
重なりを見つけても、その人を増やすことはできません。取れる手は4つです。
打ち手 | 使いどころ | 注意 |
|---|---|---|
時期をずらす | 後続プロジェクトの開始を1か月遅らせる | 最も現実的。ただし全体の期日への影響を確認 |
作業を分ける | 判断が要る部分だけその人に、残りは別の人に | 「その人でなければできない部分」を特定する |
代わりを育てる | 半年以上先の負荷に対して有効 | 直近の山には間に合わない |
優先順位を決める | どうしても重なる場合 | どのPJを待たせるかを、運営委員会で決める |
2番目の「作業を分ける」が、意外と効きます。その人が必要なのは、実は判断が要る場面だけということが多いからです。資料作成や調査は別の人でもできます。
■ 100%を目標にしない
要員計画でよくある失敗が、全員をきっちり100%埋めようとすることです。
実際には、割り込みが必ず発生します。障害対応、急な問い合わせ、他部署からの相談。計画上は70〜80%にしておかないと、少しの変動で破綻します。
計画上の稼働 | 起きること |
|---|---|
100% | 予定外のことが1つ起きただけで遅れる |
80% | 多少の割り込みを吸収できる |
60%以下 | 余裕はあるが、費用対効果が悪い |
■ 「兼務」は数えにくい
業務部門の人がプロジェクトに参加する場合、たいてい本業との兼務です。ここで「20%参加」と書いても、実態は違うことがあります。
本業が忙しくなれば、まっさきに削られるのはプロジェクトの時間です。だから、兼務の人については割合ではなく、具体的な時間で約束します。
毎週火曜の午後は、プロジェクトの時間として確保する
その時間は、上長にも認識してもらう
月末など、本業が忙しい時期はあらかじめ外す
「20%お願いします」より「火曜午後をください」のほうが、実現します。
■ 誰が決めるかを決めておく
重なりが見つかったとき、プロジェクトマネージャー同士で話し合っても決まりません。どちらも自分の期日を抱えているからです。
ここはプログラムマネージャーが決めると、最初に決めておきます。そして判断の基準も先に出しておきます。「成果指標への影響が大きいほうを優先する」といった一文で構いません。
■ まとめ
プログラムの要員管理は、キーパーソンの予定を横に並べることから始まります。重なりが見つかったら、時期をずらす・作業を分ける・優先順位を決める。計画上の稼働は80%を上限に。
いま関わっているプログラムで、取り合いになりそうな人を3人挙げてみてください。その3人の予定を月ごとに並べるだけで、この先の山が見えてきます。