プログラムの会議体とガバナンスの設計
プログラムが始まると、会議が一気に増えます。気がつくと、週の半分が打ち合わせで埋まっている。そして、それだけ集まっているのに、肝心なことが決まらない。
原因はたいてい同じです。いろいろな種類の話が、同じ会議に混ざっているのです。

■ 3つの層に分ける
プログラムの会議は、図のように3層に分けます。分ける基準は、参加者でも頻度でもなく、そこで決められることは何かです。
運営委員会:お金と優先順位を決められる人がいる場
プログラム定例:プロジェクトをまたぐ調整ができる場
プロジェクト定例:日々の作業を動かす場
予算の話は運営委員会でしか決まりません。そこに持ち込まずに現場で議論しても、時間が過ぎるだけです。逆に、個別の技術課題を運営委員会に持ち込むと、判断すべきことが後回しになります。
■ 運営委員会は「判断の場」にする
一番もったいないのが、運営委員会が報告会になってしまうことです。各プロジェクトが順番に進捗を話し、時間が終わる。何も決まらない。
これを避けるには、議題の形を固定します。
時間 | 内容 |
|---|---|
5分 | 成果指標の状況(1枚) |
10分 | 全体の進み具合と、赤信号のところだけ |
35分 | 判断が必要な事項(最大3件) |
10分 | 次回までの宿題の確認 |
3行目が本体です。判断事項を事前に配り、その場で決めてもらう。決められない場合は、いつまでに誰が決めるかを決めます。
判断事項がない月は、会議を短縮しても構いません。「毎月60分やる」ことが目的ではないからです。
■ 判断事項の出し方
持ち込む側にもコツがあります。次の形でまとめると、その場で決まりやすくなります。
決めてほしいこと(1文)
選択肢はA案とB案(それぞれの費用・期間・リスク)
推奨とその理由
決めなかった場合に何が起きるか
4つ目を忘れないでください。「来月まで保留」という判断にもコストがあります。それを見せないと、簡単に保留されます。
■ プログラム定例で見るもの
週次のプログラム定例では、各プロジェクトの詳細は追いません。見るのは3つだけです。
見るもの | 問いかけ |
|---|---|
依存関係の一覧 | 期日どおり渡せそうですか。危ないものはどれですか |
マイルストーンのずれ | そのずれは、他のプロジェクトに影響しますか |
助けが必要なこと | プログラム側で動かせることはありますか |
3行目を毎回聞くのが大事です。プロジェクトマネージャーは、自分で何とかしようとします。聞かれて初めて「実は業務部門の回答が止まっていて」と出てくることがよくあります。
■ 誰が何を決められるかを紙に書く
ガバナンスと聞くと大げさですが、実務では「誰が何を決めていいか」の一覧があれば足ります。
決めること | 決める人 |
|---|---|
100万円未満の追加作業 | プロジェクトマネージャー |
プロジェクト間の要員の移動 | プログラムマネージャー |
マイルストーンの変更 | プログラムマネージャー(運営委員会に報告) |
成果目標の変更、構成の追加・中止 | 運営委員会 |
金額や条件は組織によって変わります。大事なのは、プログラムの開始時に決めて、全員に配っておくことです。これがないと、すべてが上に上がってきて、判断が詰まります。
■ 会議を減らす工夫
運営委員会の資料は、前営業日までに配る(その場で読ませない)
プログラム定例に出す資料は1枚に固定する(作る時間を減らす)
2つの層の参加者が大きく重なるなら、統合を検討する
3つ目は小さな組織でよくあります。運営委員会とプログラム定例の顔ぶれがほぼ同じなら、無理に分ける必要はありません。層を分ける目的は、判断できる人をそろえることです。最初からそろっているなら、1つで構いません。
■ まとめ
プログラムの会議は、決められることの違いで3層に分ける。運営委員会は判断の場にし、報告は最小限にする。そして「誰が何を決めていいか」を最初に紙にしておく。
いま出ている会議を思い浮かべて、それぞれ「ここで何が決まるか」を書いてみてください。何も出てこない会議があれば、統合するか、やめる候補です。