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医療・ヘルスケア案件の注意点

医療・ヘルスケアの案件には、他の業界にはない緊張感があります。システムが止まったときの影響が、業務の遅れではなく人の体に関わるからです。

とはいえ、やることが特殊なわけではありません。普段のプロジェクト管理を、少しだけ厳しい基準で運用する。その「少しだけ」がどこなのかを整理します。

病院は静かな時間帯がほとんどない


■ 注意点1:止められる時間がほとんどない

図のとおり、病院には夜間も救急と当直があります。「深夜なら止められる」という一般的な前提が通用しません。

では、どうするか。3つの方法があります。

  • 部分停止にする:全体ではなく、影響範囲の小さい機能だけを止める

  • 代替運用を決める:止めている間は紙で運用し、後から入力する手順を作る

  • 短時間に分割する:1回2時間の作業を、3回に分けて別の日にやる

どれを選ぶにしても、決めるのは開発側ではありません。現場の運用担当者と一緒に決める必要があります。そして、その場には必ず看護部門の人を入れてください。実際に夜間対応をしているのはその人たちです。


■ 注意点2:現場の時間は取れない

医師や看護師は、会議のために時間を空けられません。外来の合間、勤務交代の前後、そういった短い時間しか取れないのが普通です。

一般的な進め方

医療現場での現実的な進め方

2時間の要件定義会議を週1回

30分の確認を、朝の申し送り後に

資料を事前送付して読んできてもらう

その場で1枚だけ見せて、その場で決める

全員が集まるまで待つ

代表者1人に確認し、後から全員に共有する

つまり、会議を短くする工夫ではなく、会議を前提にしない進め方が必要になります。決めたいことを1つに絞り、選択肢を2つ用意して、その場で決めてもらう。これを繰り返します。


■ 注意点3:患者情報の扱いは最初に決める

テスト用のデータをどうするかは、必ず最初に決めてください。本番データをそのままテスト環境に持っていくことは、原則としてできません。

決めること

ありがちな失敗

テストデータの作り方

移行直前になって、本番データが使えないと判明

作業できる場所と端末

持ち帰り作業を前提に計画し、後から禁止される

画面キャプチャの扱い

不具合報告に患者名が写り、やり直しになる

3つ目は本当によくあります。不具合報告の手順を作るときに、キャプチャをどう撮り、どこに保存するかまで決めておいてください。


■ 切り戻しの判断は、事前に線を引く

切替当日、問題が起きたときに「もう少し様子を見ますか」と迷う時間が一番危険です。

だから、作業を始める前に書いておきます。

  • 何時までに、どの状態になっていなければ切り戻すか

  • 切り戻しの判断をするのは誰か(1人に決める)

  • 切り戻した場合、現場にどう伝えるか

この3行を紙にして、当日その紙を机の上に置いておく。それだけで、判断が遅れる事故がかなり防げます。


■ まとめ

医療の案件で特別なのは、技術ではなく停止・時間・データの3つの制約です。どれも、最初に現場と話せば分かります。

もしこれから医療系の案件に入るなら、最初の訪問時に「システムが止まったら、現場はどうしますか」と聞いてみてください。その答えのなかに、この案件で本当に守るべきものが入っています。

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