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小売・流通の案件で外せない前提

小売や流通の案件には、他の業界にはない独特の難しさがあります。それは「関係者が多い」のではなく、「現場の数が多い」ことです。

本部で決めたことを、何十店舗、何百店舗に同じ形で届けないといけません。この一点が、計画の立て方を変えます。

小売・流通でよくある触れない時期の年間イメージ


■ 前提1:商戦期には、何も変えられない

小売には、絶対に売上を落とせない期間があります。年末商戦、初売り、大型連休。この時期は、システム変更が原則として凍結されます。

凍結されるのは本番リリースだけではありません。現場へのテスト協力依頼、操作研修、マニュアル確認。人手を使うことはすべて止まります。

ここで大事なのは、凍結期間を「避ける」のではなく、最初に線表に書き込んでおくことです。上の図のような1枚を作り、顧客と一緒に赤い部分を確認する。これだけで、後から「その時期は無理です」と言われる回数がほぼなくなります。


■ 前提2:店舗は1つずつ違う

本部の資料には「全店共通の運用」と書いてあります。しかし実際に店舗を回ると、やり方が少しずつ違います。

本部の想定

店舗の実態

全店で同じ手順

店の広さ・人数で手順が変わっている

端末は各店2台

増設・故障で台数がバラバラ

担当者が操作する

アルバイトが交代で操作している

通信環境は同一

地方店・商業施設内は回線が細い

この差は、実際に数店舗を見に行かないと分かりません。だから小売の案件では、設計の前に店舗訪問を予定に入れます。大型店、小型店、地方店を1つずつ。3店舗見れば、だいたいの幅が分かります。


■ 前提3:展開は一斉ではなく、段階で

全店同時に切り替えると、問題が起きたときに全店が止まります。だから小売では、段階展開が基本です。

段階

対象

目的

第1波

1〜2店舗(本部の近く)

手順そのものを確かめる

第2波

10店舗前後(条件の違う店)

例外パターンを洗い出す

第3波

残り全店

量をこなす。手順は固定

第1波と第2波の間には、必ず立ち止まる日を置いてください。ここで手順を直せるかどうかで、第3波の混乱が決まります。


■ 問い合わせは開店直後に集中する

見落としやすいのが、切替直後の問い合わせ対応です。店舗は朝の開店準備で一斉にシステムを触ります。つまり問い合わせが特定の1時間に集中します。

  • 切替翌日の朝は、通常の何倍もの電話が来る前提で人を置く

  • 「よくある質問」を紙1枚にして、事前に各店へ配る

  • 電話がつながらない場合の代替手段(一時的な手書き運用)を先に決めておく

3つ目が特に重要です。店は開店を遅らせられません。システムが使えなくても、売る方法を用意しておく必要があります。


■ まとめ

小売・流通の案件では、商戦カレンダー・店舗の実態・段階展開の3つが計画の土台になります。どれも本部の資料だけでは分かりません。

いま小売系の案件に関わっているなら、まず顧客の年間カレンダーをもらい、店舗を3つ見せてもらってください。そこからしか、現実的な線表は引けません。

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