PMになって最初の1か月にやること
「来月からPMをお願いします」と言われたとき、最初に何をすればよいでしょうか。
やる気のある人ほど、すぐに改善に手をつけたくなります。しかし、最初の1か月でやるべきなのは「変えること」ではなく「見えるようにすること」です。

■ 1週目:聞く。まだ何も変えない
最初の週は、状況を把握することに使います。
メンバー全員と15分ずつ話す
会議ではなく、1対1で話します。聞くのは3つだけです。
いま何をやっていますか
困っていることはありますか
このプロジェクトで、危ないと思っているところはありますか
3つ目の質問が重要です。現場の人がいちばん先に気づいています。
文書を読む
工程表、課題管理表、議事録、提案書。読む順番は、議事録が最優先です。何が決まって、何でもめているかが、いちばん早く分かります。
顧客側の体制を確認する
窓口は誰か、決裁者は誰か、どの部署が関わるか。ここが分からないと、何も進められません。
この週は、改善に手をつけない
状況が分からないまま何かを変えると、たいてい現場の反発を招きます。「新しいPMが来て、かき回された」という評価が最初につくと、その後が苦しくなります。
■ 2週目:見える状態を作る
状況が分かったら、まず見える形を整えます。最初に用意するのは3つだけです。
作るもの | 最低限の項目 | なぜ必要か |
|---|---|---|
工程表 | 作業・担当・期限(まず3週間先まで) | 何が、いつまでに終わるべきかを共有する |
課題管理表 | 内容・担当・期限・状態 | 止まっていることを見えるようにする |
決定事項ログ | 決まったこと・決めた人・日付 | 「言った・言わない」を防ぐ |
すでにあるなら、作り直さずに足りない欄を埋めます。とくに課題管理表は、担当と期限が空欄のまま運用されていることが多いので、そこを埋めるだけで動き始めます。
あわせて、進捗を件数で見られるようにします。「80%完了」ではなく「全50件のうち38件完了」の形です。
■ 3週目:先を見る
目の前のことが見えるようになったら、次は先を見ます。
3週間先までの工程を確認し、止まりそうな作業を書き出す
社内手続き(環境申請、契約、要員手配)の期限を逆算する
要員の負荷が重なる週を探す
顧客側の回答待ちになっているものを確認する
そして、気になった点を1つ、上司に相談します。
この「1つ相談する」が大事です。困っていなくても相談しておくと、本当に困ったときに話しやすくなります。
■ 4週目:自分の型を決める
最後の週は、これから毎週繰り返す形を固めます。
習慣 | やること | 所要時間 |
|---|---|---|
朝の点検 | 課題表を開いて、今日止まりそうなものを1つ決める | 15分 |
終業前の締め | 決まったことを書き、明日の1件目を決める | 10分 |
週次報告 | 決まった形で、同じ項目を毎週出す | 30分 |
週1回の先読み | 工程表を3週間先まで眺める | 1時間 |
毎週同じ形で回すと、異常に気づきやすくなります。いつもと違うことが起きたときに、すぐ分かるからです。
■ 前任者がいる場合、いない場合
状況 | やること |
|---|---|
前任者がいる | 「資料に書けなかったこと」を聞く。人間関係、危ない箇所、口約束 |
前任者が既に抜けている | 議事録を古い順に読む。メンバーと顧客窓口から状況を聞く |
新規プロジェクト | 提案書と見積りの内訳を読む。前提条件を確認する |
前任者がいる場合、資料に書かれていないことを聞くのが最優先です。文書は後からでも読めますが、人はいなくなります。
■ 完璧にやろうとしない
最初の1か月で、すべてを整えることはできません。次の優先順位で考えます。
最優先:いま止まっているものを動かす
次:見える状態を作る(工程表・課題表・決定事項)
その次:先のリスクを洗い出す
後回しでよい:文書の体裁、ツールの整備、プロセスの改善
プロセスの整備から入ると、現場が止まります。まず回すこと、そのあと整えることです。
■ まとめ
PMになって最初の1か月は、次の順で進めます。
1週目:聞く(全員と話す、文書を読む、何も変えない)
2週目:見える状態にする(3つの表を整える)
3週目:先を見る(止まりそうな所を探し、1つ相談する)
4週目:型を決める(朝の点検、週次報告、先読みの時間)
明日から始めるなら、まずメンバー1人と15分話すことから始めてみてください。そこで出てくる話が、最初の地図になります。