新任PMが最初につまずくこと
PMになったばかりの時期は、うまくいかないことが続きます。
ただ、つまずく場所はだいたい決まっています。しかも、その多くは「まじめな人ほど陥る」形をしています。前の役割では正しかったことが、PMの役割では逆に働くからです。

■ ① 自分で作業を抱え込む
メンバーが詰まっているのを見ると、つい自分で手を動かしたくなります。実際、自分でやったほうが早いことも多いでしょう。
しかし、これをやると3つのことが起きます。
PMの手が塞がり、全体を見る人がいなくなる
メンバーは学ぶ機会を失う
次も同じことが起きる
抜け出し方は、代わりにやるのではなく、何が分からないかを一緒に整理することです。「どこまでは分かっていて、どこから分からないですか」と聞くところから始めます。
■ ② 技術で認められようとする
技術者からPMになった人に多いつまずきです。設計の細部に口を出し、実装方法を指示し、コードレビューまでやってしまう。
気持ちは分かりますが、それをやるとPMの仕事をする時間がなくなります。
PMが認められるのは、技術力ではありません。詰まりを先に見つけること、判断が要る場面で決めること、関係者を動かすことです。技術はメンバーに任せます。
■ ③ 悪い知らせを抱える
遅れや問題に気づいたとき、「もう少し様子を見てから報告しよう」と考えてしまう。新任PMに非常に多い形です。
理由も分かります。対策が決まっていない状態で報告すると、無能だと思われそうだからです。
しかし実際は逆で、報告が遅れるほど評価は下がります。
いつ報告するか | 上司の受け取り方 | 残っている選択肢 |
|---|---|---|
気づいた日 | 早く共有してくれた | 人を足す、範囲を削る、納期を相談する |
1週間後 | なぜ早く言わなかったのか | 残業で埋めるくらい |
手遅れになってから | 管理できていない | なし |
対策が決まっていなくても、事実だけ先に伝えてかまいません。「◯◯が遅れています。原因を確認中です。夕方までに状況をお伝えします」で十分です。
■ ④ 「順調です」を鵜呑みにする
進捗会議で全員が「順調です」と答える。それを信じて、そのまま報告する。そして数週間後に、実は遅れていたことが分かる。
これは、メンバーが嘘をついているわけではありません。本人も「順調のつもり」なのです。
防ぐには、感覚ではなく数で聞きます。
×「進捗はどうですか」
○「全部で何件のうち、何件終わりましたか」
○「終わっていない分で、いま困っているものはありますか」
■ ⑤ 全部の会議に出る
呼ばれた会議に全部出ていると、1日が埋まります。そして先を見る時間がゼロになります。
出るかどうかは、次で判断します。
判断 | 基準 |
|---|---|
出る | 自分が決めることがある/悪い知らせが出る可能性がある |
出ない | 状況共有だけ/議事メモを読めば足りる |
途中まで出る | 自分に関係する議題だけ出る |
断るときは、「議事メモをいただければ確認します」と添えると角が立ちません。
■ ⑥ 決めずに持ち帰る
自信がないと、「持ち帰って検討します」と答えたくなります。しかしこれを繰り返すと、PMのところで作業が止まります。
対処は2つです。
その場で決められることは、その場で決める(小さいことほど即決する)
決められないなら、いつ決めるかをその場で決める
「持ち帰ります」ではなく「明日の午前中までに回答します」と言えば、相手は待てます。
■ ⑦ 記録を残さない
忙しいと、議事メモを後回しにします。そして数週間後に「言った・言わない」が始まります。
完璧な議事録は要りません。決まったことだけ、3行で、その日のうちに書きます。
決まったこと
誰が、いつまでにやるか
決まらなかったこと(次にいつ決めるか)
■ ⑧ 一人で全部背負う
最後が、いちばん大事です。
新任PMは「自分が全部やらなければ」と思いがちですが、PMは一人で成立する役割ではありません。
上司に、順調なうちから状況を話しておく
他のPMに、やり方を聞く
メンバーに、分からないことは分からないと言う
とくに「順調なうちから話しておく」のが重要です。困ってから初めて相談すると、相手も状況が分からず、対応が遅れます。
■ 最初の数か月は、できなくて普通
PMの仕事は、前の役割とは性質が違います。手を動かす仕事から、人と情報を動かす仕事に変わります。すぐにできるほうが珍しいと考えてください。
分かれ目になるのは、うまくできるかどうかではありません。詰まったときに、早く相談できるかどうかです。
■ まとめ
新任PMがつまずく場所は、次の3つに集約されます。
抱え込む(作業も、悪い知らせも、判断も)
数字で確認しない(口頭の「順調です」で進む)
記録を残さない
思い当たるものがあれば、まず1つだけ変えてみてください。今日の会議で「全部で何件のうち何件終わったか」を聞く。ここからで十分です。