未来PM
PjMノウハウ

提案書をPMとしてレビューする

「提案書を確認してください」と回ってきたとき、どこを見ますか。

つい誤字や体裁に目が行きます。しかしPMが見るべきなのは、そこではありません。誤字は直せますが、書かれていない前提条件は、受注後には直せません。

提案書レビューのチェックポイントの図


■ 最優先で見る3つ

時間がないときは、この3つだけ見ます。

① 作業範囲

「やること」が書かれているのは当然として、「やらないこと」が書かれているかを見ます。

そして、曖昧な言葉が残っていないかを確認します。

曖昧な表現

何が問題か

どう直すか

「〜等」「〜など」

何が含まれるか不明

列挙して「これ以外は含まない」と書く

「必要に応じて」

誰が必要と判断するか不明

条件を書くか、削除する

「適宜」「柔軟に」

範囲外の作業を求められる根拠になる

具体的な回数や条件に置き換える

「支援します」

主体が誰か不明

誰が何をするかを書き分ける

「支援」はとくに危険です。顧客は「やってくれる」、受注側は「手伝うだけ」と受け取り、後で食い違います。

② 前提条件

顧客側にやってもらうことが、書かれているかを見ます。

  • 環境(テスト環境、ネットワーク、アカウント)

  • データ(現行データ、テストデータ、マスタ)

  • 要員(確認・承認する人、受入テストをする人)

  • 期限(質問への回答、承認にかかる日数)

そして、前提が崩れたときにどうするかまで書かれているかを確認します。「前提が崩れた場合は、納期と費用を再協議する」の一文があるかどうかで、後の交渉の可否が変わります。

③ 見積り

金額の総額ではなく、内訳を見ます。工程別に分かれていて、レビュー・テスト・手戻り・会議・移行の工数が入っているかを確認します。

入っていなければ、足すか、前提条件として除外します。「含まれているだろう」で進めると、実行段階で足りなくなります。


■ 次に見る4つ

項目

見るポイント

スケジュール

各工程に最低限の期間があるか。顧客側の作業(確認・承認・受入テスト)が線として引かれているか

体制

載っている要員が実際に確保できるか。役割と責任範囲が書かれているか

成果物一覧

納品物が列挙され、形式(紙・電子・様式)まで決まっているか

検収条件

何をもって完了とするかが、数と条件で書かれているか

スケジュールで見落としやすいのが「顧客側の作業」です。こちらの工程だけが線で引かれていて、顧客の確認期間や受入テスト期間が入っていない提案書をよく見ます。これがないと、実行段階で「確認に2週間かかります」と言われて計画が崩れます。


■ 成果物は「形式」まで決める

「設計書を納品する」だけでは足りません。次まで決めておきます。

  • どの設計書か(基本設計書、詳細設計書、テーブル定義)

  • どの形式か(顧客指定の様式か、こちらの標準か)

  • どの媒体か(電子のみか、紙も必要か)

  • いつ出すか(フェーズ完了時か、最後にまとめてか)

とくに「顧客指定の様式」が後から出てくると、書き直しの工数が発生します。提案の段階で確認しておきます。


■ 検収条件が書かれていない提案書は危ない

多くの提案書で、検収条件が曖昧なまま残っています。

曖昧

判断できる

受入テストの完了をもって検収

合意したテスト項目◯件を実施し、重大な不具合がゼロの状態

正常に稼働することを確認

指定の業務シナリオ5件が、手順書どおりに完了すること

顧客の承認をもって完了

成果物一覧の全項目について、受領確認書に署名されること

ここが曖昧なまま進むと、プロジェクトの終わりを顧客が決める状態になります。


■ 指摘の伝え方

提案書を作った営業や上司に指摘するとき、伝え方で受け取られ方が変わります。

  • ×「この提案書は問題が多いです」

  • ○「3点だけ確認させてください。①作業範囲の『等』が何を含むか ②顧客側の受入テスト要員 ③検収条件です」

指摘の数を絞り、優先度をつけて出すと、修正してもらいやすくなります。全部を一度に指摘すると、どれも直りません。

また、「直してください」ではなく「こう書くのはどうでしょう」と案を添えると、話が早く進みます。


■ 見た目のレビューは最後

誤字、体裁、フォント、図の見やすさ。これらも大事ですが、中身が固まってから直します。

中身が変われば、そのページごと差し替えになります。順番を逆にすると、同じ作業を2回やることになります。


■ まとめ

提案書レビューでPMが見るのは、次の3つです。

  • 作業範囲:やらないことが書かれているか。曖昧な言葉が残っていないか

  • 前提条件:顧客側の作業と、崩れた場合の扱いが書かれているか

  • 見積り:工程別の内訳に、抜けている作業がないか

次に提案書を見るときは、まず「等」「必要に応じて」「適宜」で検索してみてください。これだけで、確認すべき箇所が見つかります。

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