外部委託・協力会社との進め方
自社だけで完結するプロジェクトは、あまりありません。協力会社、外注先、グループ会社。誰かに作業を委託する場面は必ず出てきます。
このとき「どの契約で頼んでいるのか」を知らないまま進めると、頼めないことを頼んでしまうことがあります。ここは法律が関わる部分なので、最初に押さえておきます。

■ 契約の形で、できることが変わる
実務でよく使われる3つを整理します。
項目 | 請負契約 | 準委任契約 | 派遣契約 |
|---|---|---|---|
相手が負う責任 | 成果物を完成させる | 誠実に作業する | 指揮命令に従う |
完成の責任 | あり | なし | なし |
直接指示 | できない | できない | できる |
進捗の聞き方 | 相手の責任者に聞く | 相手の責任者に聞く | 本人に聞ける |
向いている工程 | 要件が固まった製造・テスト | 要件定義・設計・運用支援 | 継続的な作業の増員 |
重要なのは「直接指示」の行です。請負と準委任では、相手の作業者に日々の作業を直接指示してはいけません。これをやると偽装請負と判断される可能性があります。
判断に迷う場面が出たら、自分で決めずに社内の法務部門や調達部門に確認してください。ここは現場の感覚で処理してよい領域ではありません。
■ 委託先に渡すべき情報
「うまくいかない委託」の多くは、渡す情報が足りていません。
渡すもの | 足りないと何が起きるか |
|---|---|
成果物の定義(何を、どの形式で) | 出てきたものが想定と違う |
合格基準(何ができたら完了か) | 検収の段階でもめる |
前提条件(環境、データ、他システム) | 途中で手が止まり、待ちが発生する |
背景(なぜこれを作るのか) | 仕様の解釈がズレる |
連絡ルート(誰に、いつ聞くか) | 質問が止まり、勝手に判断される |
とくに「背景」は省かれがちですが、これがあると相手は仕様の曖昧な部分を正しい方向に解釈してくれます。
■ 進捗をどう見るか
委託先の進捗は、自社メンバーより見えにくくなります。次の3つを決めておきます。
何を、いつ出してもらうか(週次の進捗、月次の成果物)
どの粒度で報告してもらうか(機能単位の完了数など、数で出せる形)
中間成果物をいつ見せてもらうか
いちばん危険なのは、納品日まで中身を一度も見ないことです。請負であっても、中間成果物のレビューを契約に入れておきます。
「順調です」という報告が続いているのに中身を見ていない状態は、リスクが見えていないだけです。
■ 遅れが見えたときの動き
委託先の遅れに気づいたら、段階を踏みます。
段階 | やること | 相手 |
|---|---|---|
1. 事実の確認 | 何が、どれだけ遅れているかを数で出してもらう | 先方の担当PM |
2. 原因の確認 | 人手・仕様不明確・技術的困難のどれか切り分ける | 先方の担当PM |
3. 挽回策の合意 | 体制強化か、範囲調整か、期日変更かを決める | 先方の責任者 |
4. 上位への報告 | それでも収まらなければ、双方の管理職に上げる | 両社の管理職 |
1と2を飛ばして「なんとかしてください」と言うと、相手も動けません。原因が仕様の不明確さだった場合、直すのは発注側ということもよくあります。
■ 相手の立場を考える
委託先も会社です。彼らにも事情があります。
複数の案件を掛け持ちしている
自社の人繰りの都合がある
利益が出なければ続けられない
無理な要求を押し続けると、良い人が外され、優先度が下がります。長く付き合う相手ほど、無理をさせないほうが結果的に得になります。
逆に、こちらの情報提供が遅れて相手を待たせているケースも少なくありません。定期的に「こちらが止めているものはないか」を聞くとよいでしょう。
■ まとめ
外部委託でつまずく原因は、多くが次の3つです。
契約の形を理解しないまま、頼めないことを頼む
成果物と合格基準を曖昧なまま渡す
納品まで中身を見ない
いま委託している案件があれば、まず契約の形を確認してみてください。それによって、やるべきことが変わります。