未来PM
PjMノウハウ

テンプレートを組織に定着させる

「良いテンプレートを作ったのに、誰も使ってくれない」。よくある悩みです。

原因は、テンプレートの出来ではありません。配り方と、育て方にあります。テンプレートは、作って配った時点では定着していません。

テンプレートが定着するまでの4段階


■ なぜ使われないのか

使われないテンプレートには、共通点があります。

欄が多すぎる

「あれも書いたほうがいい」「これも必要だ」と足していくと、埋めるのに30分かかるものができます。忙しいときに30分は取れません。10分で埋まる量が目安です。

何を書く欄か分からない

「影響範囲」という欄があっても、システムの話なのか、業務の話なのか、人の話なのかが分かりません。書く人は迷い、迷うと手が止まります。

作った人しか使っていない

作った本人は中身を分かっているので、すらすら書けます。しかし他の人には、その前提が共有されていません。


■ 定着させる4つの段階

① まず自分の案件で使い切る

いきなり配りません。自分が担当しているプロジェクトで、最初から最後まで使います。

ここで必ず「使いにくい欄」が見つかります。埋められなかった欄、毎回同じことしか書かなかった欄、逆に足りなかった欄。これを直してから、次に進みます。

② 記入例をつける

いちばん効果があるのがこれです。

空欄のひな形だけを渡されても、人は書けません。実際の案件で書いたものを、そのまま記入例として添えます。顧客名など出せない部分だけ伏せれば十分です。

記入例が1つあるだけで、「ああ、このくらいの粒度で書けばいいのか」が伝わります。説明文を10行書くより効きます。

③ 隣の案件に1つ渡す

全社に配る前に、近くのPM1人に渡して使ってもらいます。そして聞きます。

  • どの欄で手が止まったか

  • いらないと思った欄はどれか

  • 足りない欄はあったか

ここで出た指摘を直してから広げます。いきなり全社配布すると、直す機会を失います。「配ったけど誰も使っていない」の多くは、この段階を飛ばしています。

④ 置き場所を1つに決める

「どこにあるか分からない」は、使われない理由として非常に多いものです。

誰でも取りに行ける場所に、1つだけ置きます。そして、最終更新日と、直した担当者の名前を書いておきます。これがあると、古いまま放置されているかどうかが一目で分かります。


■ 「使わない欄は消してよい」と書いておく

意外に大事なポイントです。

テンプレートを渡されると、多くの人は「全部埋めなければいけない」と受け取ります。そして、小さな案件なのに大量の欄を埋めることになり、次から使わなくなります。

テンプレートの先頭に、1行入れておきます。

  • 「案件の規模に合わせて、不要な欄は削除してかまいません」

これだけで、心理的な重さが下がります。


■ 押しつけない。困っている人に渡す

「今日からこのテンプレートを使ってください」という通達は、あまり効きません。

効くのは、困っている場面で差し出すことです。

  • 課題管理で混乱しているPMに、課題管理表を渡す

  • 報告の書き方に悩んでいる人に、報告書の記入例を見せる

  • キックオフの準備をしている人に、議題のひな形を渡す

「助かった」という体験が1回あると、次からは自分で取りに来ます。


■ 育てる担当を1人決める

テンプレートは、放っておくと古くなります。

誰か1人、「気づいた指摘を反映する人」を決めておきます。委員会も会議も要りません。1人が、年に数回直せば十分です。

逆に、担当が決まっていないテンプレートは、指摘が行き場を失って消えていきます。


■ まとめ

テンプレートが定着したと言えるのは、配った時点ではなく、自分以外の人が2件目の案件でも使った時点です。

そこまで持っていくには、記入例をつけ、1人に試してもらい、置き場所を決める。地味ですが、この順番を守ると定着率は大きく変わります。

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