プロジェクト管理ツールの選び方
「プロジェクト管理ツールは何を使えばいいですか」。よく聞かれる質問ですが、ツールの機能より先に決めるべきことがあります。
それは「何を、どこに置くか」です。ここが決まっていないと、どんな高機能なツールを入れても、情報は散らばります。

■ 同じ情報が2か所にあると、必ず片方が古くなる
よくある状態です。
工程表が、共有フォルダとメール添付と、PMの手元に3つある
課題が、チャットと表とメールに分かれている
仕様書の最新版がどれか、誰にも分からない
こうなると、会議で「私が見ていたのは古い版でした」という時間が発生します。ツールを増やすより、置き場所を減らすほうが効果があります。
■ 何を、どこに置くか
工程表(WBS・スケジュール)
50行以下なら、表計算ソフトで十分です。専用ツールが必要になるのは、次のような場合です。
依存関係が複雑で、1つずれると全体が動く
複数人が同時に更新する
実績工数を自動で集計したい
逆に、使いこなせないツールを入れると、誰も更新しなくなります。更新されない工程表は、ないのと同じです。
課題管理・リスク管理
共有できる表でも、チケット管理ツールでも構いません。条件は3つです。
誰でも起票できること
担当と期限の欄があること
期限で並べ替えられること
通知が飛ぶツールだと、期限前のリマインドが自動になり、閉じるのが早くなります。
議事メモ・決定事項
全員が書き込める文書ツールに置きます。条件は検索できることです。
メール添付は避けます。数か月後に「あの件はどう決まったか」を探すとき、メールの中からは見つけられません。
仕様書・成果物
版が管理できる場所に置きます。「最新版がどれか」が誰でも分かることが条件です。
ファイル名に日付や「最終」「最終2」を付ける運用は、どこかで必ず破綻します。
日々のやりとり
チャットで構いません。ただし、チャットで決まったことは、必ず議事メモか決定事項ログに書き写します。チャットは流れるので、記録の置き場所にはなりません。
■ ツール選びより大事な3つのこと
① 置き場所を1つに決める
「工程表はここ」「課題はここ」と決めて、他に置かない。これだけで、情報の食い違いが大きく減ります。
キックオフで、置き場所の一覧を配ります。「何をどこで見ればよいか」が全員に共有されている状態を作ります。
② 全員が書き込める状態にする
PMだけが更新するツールは、実態から遅れます。メンバーが直接書き込める権限と、使い方の説明を最初にやっておきます。
「書き込み方が分からないから、PMにメールで送る」という状態になると、PMが転記係になります。
③ プロジェクトの途中で乗り換えない
途中で「もっと良いツールがある」と気づいても、基本的には乗り換えません。移行の手間と、情報が二重になる期間の混乱が、機能の差を上回ります。
乗り換えるなら、フェーズの切れ目に、一気にやります。
■ 相手の環境に合わせる
発注元やベンダーが使えないツールは、選択肢から外れます。
社外の人がアクセスできるか(セキュリティ上の制約)
相手の会社で使用が許可されているか
アカウント発行に時間がかかるか
どれだけ良いツールでも、関係者の半分が見られないなら機能しません。全員が使えるものを選びます。
■ まとめ
ツールは、機能で選ぶ前に「何を、どこに置くか」を決めることが先です。置き場所を1つにし、全員が書き込める状態にし、途中で乗り換えない。
いま参加しているプロジェクトで、同じ情報が2か所にないかを確認してみてください。あれば、それが混乱の元です。