振り返りを「反省会」にしない回し方
プロジェクトが終わったあと、あるいは大きなフェーズが終わったあとに行う振り返り。やっている組織と、やっていない組織で、数年後に大きな差がつきます。
ただし、やり方を間違えると逆効果です。反省会になった振り返りは、次から誰も本音を言わなくなります。

■ いつやるか
タイミングは2つです。
フェーズの終わり 要件定義が終わったとき、テストが終わったとき。次のフェーズに活かせます
稼働後1〜2週間以内 記憶が残っているうちに。半年後にやっても、細かいことは思い出せません
大きなプロジェクトなら、途中で何度かやります。終わってからまとめてやるより、途中で小さくやるほうが効果があります。
■ 最初に目的とルールを宣言する
最初の10分で、これが何の場かをはっきりさせます。
人を責める場ではない。次に活かすための場である
出来事と仕組みの話をする。「誰が悪かったか」は扱わない
ここで出た話を、人事評価に使わない
とくに3つ目は、参加者が最も気にしているところです。PMが明言するかどうかで、出てくる情報の質が変わります。
■ 事実を時系列で並べる
いきなり意見を出し合うと、記憶の違いで話が噛み合いません。まず、いつ何が起きたかを記録から並べます。
各フェーズの開始・終了の実績日
大きな変更、大きな問題が起きた日
体制が変わった日
全員が同じ絵を見てから意見を出すと、議論が噛み合います。
■ 各自が黙って書く時間をとる
いきなり「どう思いましたか」と聞くと、声の大きい人の意見だけになります。まず5分、各自が黙って書く時間をとります。
書く枠は3つです(KPTと呼ばれます)。
Keep うまくいったこと。続けたいやり方、助かった仕組み
Problem 困ったこと。人ではなく、出来事や仕組みを書く
Try 次に試したいこと。具体的で、次から実行できること
Keepから始めるのがポイントです。先に良かったことを出すと、場の空気が変わります。
■ 上位3つだけ深掘りする
出てきたものを似た内容でまとめ、影響の大きいものを3つ選びます。それだけを「なぜそうなったか」まで掘ります。
全部を掘ろうとすると、時間が足りず、どれも中途半端になります。3つに絞ったほうが、結果的に効果があります。
掘るときは、人ではなく仕組みを追います。
×「レビューが遅かったのは誰の責任か」
○「レビュー依頼から回答まで平均5日かかった。なぜその状態が続いたのか」
■ 次のアクションは3つまで
振り返りで10個のアクションを決めても、実行されません。3つまでに絞り、担当と期限をつけます。
アクションには2種類あります。
このプロジェクト内で試すもの 次のフェーズから適用する
次のプロジェクトに引き継ぐもの 文書にして、組織の資産にする
2つ目が大事です。個人の頭の中にしか残らないと、担当者が変わった瞬間に消えます。
■ 進行のコツ
上位者に先に話させない 部長が先に「よくやってくれた」と言うと、その後の話が出なくなります
PMも当事者として参加する 「自分のここが良くなかった」と先に言うと、他も言いやすくなります
沈黙を怖がらない 考える時間です。すぐ埋めようとしない
参加者を絞らない 現場の担当者ほど、有益な話を持っています
■ 記録の残し方
振り返りの記録は、次の形でまとめます。
何が起きたか(時系列の要約)
うまくいった仕組み(次も使えるもの)
困ったことと、その原因
決めたアクション(担当・期限つき)
次のプロジェクトへの申し送り
この記録を、組織の中で探せる場所に置きます。次のプロジェクトの立ち上げ期に、これを読むところから始められるのが理想です。
■ まとめ
振り返りは、責めない場だと最初に宣言し、事実から入り、各自が書き、上位3つだけ掘り、アクションを3つ決める。この流れで90分です。
そして、記録を残して次に渡すところまでが振り返りです。ここをやって初めて、個人の経験が組織の資産に変わります。