遅れに気づいたときの最初の24時間
「実は少し遅れています」。この報告を受けたとき、PMの動き方で、その後の被害の大きさが決まります。
遅れそのものは避けられません。問題は、気づいてから動き出すまでの時間です。1日遅れを隠したまま様子を見ると、1週間後には1週間の遅れになっています。

■ 0〜2時間:事実を確定する
まず、推測で動かないことです。「遅れているらしい」の段階で騒いでも、「大丈夫だろう」と流しても、どちらも間違えます。
担当者に直接聞きます。このとき、質問のしかたが重要です。
×「あと何日でできますか」 → 希望的な数字が返ってきます
○「いま何が終わっていて、何が残っていますか」 → 実態が見えます
残っている作業を1つずつ挙げてもらい、それぞれに何日かかるかを聞きます。合計すると、本当の残日数が出てきます。
同時に、周辺も確認します。1つ遅れているということは、同じ原因で他も遅れている可能性があります。
■ 2〜6時間:影響範囲を出す
遅れが分かったら、それが全体にどう響くかを整理します。
クリティカルパス上か 余裕のある作業なら、影響は限定的です
後続のどの作業が、いつ止まるか 待たされる人に、早めに伝える必要があります
バッファで吸収できるか 残りのバッファが何日あるかを確認します
稼働日や契約に波及するか ここに響くなら、報告の緊急度が上がります
この段階で、「困った」ではなく「何日、どこに響く」と言えるようになります。
■ 6〜12時間:選択肢を2〜3案つくる
報告に行く前に、打ち手を用意します。人が足りないときと同じく、選択肢はスコープ・期限・並行化・増員に整理できます。
各案について、次の3つをそろえます。
効果(何日取り戻せるか)
副作用(費用がいくら増えるか、品質や他の作業にどう影響するか)
いつまでに決めれば間に合うか
3つ目が効きます。「来週の定例で決めましょう」では手遅れになる案なら、そう書いておきます。
そのうえで、PMとしての推奨案を決めておきます。「私はA案が良いと考えます。理由は……」まで用意します。
■ 12〜24時間:報告して、判断を仰ぐ
A4で1枚にまとめます。載せるのは、事実・影響・選択肢・推奨案・決めてほしい期限の5つです。
決裁者には、次の定例を待たずにその日のうちに一報を入れます。「詳細は明日お持ちしますが、◯◯で3日の遅れが出ています」の一言だけでも構いません。
先に知らせておくと、決裁者は他の関係者から聞く前に状況を把握できます。逆に、他から先に伝わると、報告への信頼が下がります。
■ 原因の追及は後回しにする
遅れが分かると、つい「なぜこうなったのか」を先に詰めたくなります。しかし、最初の24時間でやるべきはこれからどうするかです。
原因の分析は、対応方針が決まってから落ち着いてやります。緊急対応の最中に犯人探しを始めると、次から悪い情報が上がってこなくなります。
逆に、悪い知らせを早く持ってきた人には、まず感謝を伝えます。「早く言ってくれて助かりました」。この一言があるかどうかで、次の報告の早さが変わります。
■ 残業で解決しようとしない
「少し頑張ればなんとかなる」は、たいていなりません。しかも、短期の無理は次の遅れを生みます。
残業を選ぶ場合も、期間を区切って、効果を見積もります。「今週金曜まで、2人で1日2時間、興2日分を回復する」のように、計画の一部として扱います。
■ 報告のあとにやること
決まったことを、その日のうちに記録して関係者に配る
次にいつ報告するかを伝える(「来週火曜に回復状況をご報告します」)
工程表を更新し、新しい予定を共有する
同じ原因の遅れが他にないか、あらためて確認する
「次にいつ報告するか」を伝えておくと、相手は待てます。報告がないまま時間が過ぎると、不安が大きくなります。
■ まとめ
遅れに気づいたときの24時間は、事実の確定 → 影響の把握 → 選択肢の作成 → 報告の順で進みます。
いちばんの敵は「もう少し様子を見よう」です。遅れは、早く言うほど打ち手が多く残っています。