タスクを依頼するときの3点セット
頼んだはずの資料が、期限になっても出てこない。出てきたと思ったら、想定していたものと違う。
こうした行き違いの大半は、相手の能力ではなく依頼の仕方に原因があります。そして依頼の仕方は、3つの要素が揃っているかどうかでほぼ決まります。
■ 3点セット

期限は、日付と時刻で伝えます。「今週中」「なるべく早く」「来週アタマ」は、人によって解釈が変わります。とくに「なるべく早く」は、依頼する側が思っているより緩く受け取られがちです。
完了条件は、どの状態になれば終わりかです。下書きでよいのか、レビューを通した状態か、承認まで取る必要があるのか。ここが曖昧だと、相手は過剰に作り込むか、逆に足りない状態で出してきます。どちらも時間の無駄になります。
背景は、何に使うのかです。これが最も省略されやすく、しかし最も効きます。
■ 背景を伝えると何が変わるか
用途を知っている人は、想定外のことが起きたときに自分で判断できます。
たとえば「11月11日の顧客レビューで使う」と伝えてあれば、作業中に別の急ぎが入ったときに、どちらを優先すべきか本人が判断できます。伝えていなければ、毎回こちらに確認が来るか、あるいは間違った優先順位で動くことになります。
「いちいち説明している時間がない」と感じるかもしれませんが、背景の説明は一文で足ります。その一文を省いたことで発生する確認のやり取りのほうが、はるかに時間を使います。
■ 依頼するときのもう2つの工夫
受けられるかを確認する:「お願いします」で終わらせず、「この期限で受けられそうですか」まで聞く。ここで無理だと分かれば、まだ手が打てる
中間確認の日を決める:期限の長い依頼では、途中で一度見せてもらう日を設定する。期限日に想定と違うものが出てくる事故を防げる
中間確認は、信用していないという意味ではありません。解釈がずれていた場合に、早く気づくための仕組みです。「念のため、途中で一度見せてもらえますか」と添えるだけで、相手も安心します。
■ 断られる余地を残す
PMからの依頼は、相手にとって断りにくいものです。とくに相手が若手だったり、他社のメンバーだったりすると、無理でも「やります」と答えてしまいます。
これを避けるには、依頼の形を変えます。
「できますか」ではなく「いつなら可能ですか」と聞く
「難しければ調整するので、率直に教えてください」と添える
他の作業との優先順位を、こちらから示す
三つ目が特に重要です。「これもお願いします」と積み上げるだけでは、相手はすべてを抱えます。「Aを優先して、Bは来週に回してください」と、こちらが順番を決めるのがPMの役割です。
■ 記録に残す
口頭で依頼したものは、忘れられます。依頼した側も、された側もです。
チャットでも管理表でも構いませんが、文字で残すことを習慣にします。とくに会議の場で決まった依頼は、その場で議事録に書き、終了時に読み上げます。「決まったと思っていたのは自分だけだった」が、これでほぼなくなります。
■ チェックリスト
期限を日付と時刻で伝えたか
完了条件(どの状態か)を示したか
何に使うのかを一文で添えたか
受けられるかを確認したか
長い依頼に中間確認を置いたか
他の作業との優先順位を示したか
文字で残したか
依頼は、PMが1日に何度も行う作業です。1回あたり10秒の追加で行き違いが減るなら、これほど費用対効果の高い習慣はありません。