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アプリケーション・アーキテクチャの具体的な検討事項
投稿者:u187
投稿日時:Sunday, July 27, 2025


アプリケーション・アーキテクチャは、ユーザーが利用するアプリケーションの「設計図」のようなものです。単に機能を実現するだけでなく、使いやすさ、性能、保守性、拡張性、セキュリティなど、多岐にわたる側面を考慮して設計されます。

これらの検討事項は相互に関連し合っており、アプリケーション・アーキテクトはこれらの要素をバランス良く考慮しながら、ビジネス要件を満たし、かつ技術的に実現可能で持続可能なアプリケーションの設計を行います。

アプリケーション・アーキテクチャの具体的な検討事項

  1. ビジネス要件・ユーザー要件の理解と構造化

    • 内容: アプリケーションが解決すべきビジネス課題、提供すべき価値、そして利用者が何をしたいのか(ユーザーの行動、ニーズ)を深く理解し、それらを機能要件と非機能要件に整理します。ここがすべての設計の出発点となります。

    • 具体的な検討:

      • 機能要件: どのような業務処理を行うのか(例: 顧客情報の登録、注文処理、在庫管理、レポート生成など)。

      • 非機能要件:

        • 性能: 応答速度、同時アクセス数、処理スループットなど。

        • 可用性: システムが停止しない時間、障害からの復旧時間。

        • 拡張性: 将来の機能追加や利用者増加への対応能力。

        • 保守性: 変更や修正のしやすさ、トラブルシューティングの容易さ。

        • セキュリティ: アクセス制御、データ保護、脆弱性対策など。

        • 運用性: 監視、バックアップ、ログ管理のしやすさ。

        • 移行性: 他のシステムやプラットフォームへの移行のしやすさ。

      • ユースケース図、アクティビティ図などを用いて、要件を明確化・可視化します。
         

  2. アーキテクチャスタイルの選定

    • 内容: アプリケーション全体の構造を決定する「大枠の設計思想」を選びます。これにより、システムの特性や開発の進め方が大きく左右されます。

    • 具体的な検討:

      • モノリシック・アーキテクチャ: すべての機能を一つの大きなシステムとして構築する方式。小規模システムや開発初期段階で採用されることが多い。

      • マイクロサービス・アーキテクチャ: 各機能を独立した小さなサービスとして構築し、連携させる方式。大規模システムや高頻度なデプロイが必要な場合に有効。

      • SOA (Service-Oriented Architecture): サービスという単位で機能を定義し、それらを組み合わせてシステムを構築する方式。マイクロサービスの前身とも言える。

      • イベント駆動型アーキテクチャ: イベントの発生をトリガーとして処理が実行されるアーキテクチャ。非同期処理やリアルタイム性の高いシステムに適している。

      • レイヤード・アーキテクチャ(N層アーキテクチャ): プレゼンテーション層、アプリケーション層(ビジネスロジック層)、データアクセス層など、役割ごとに階層を分けて構築する方式。最も一般的で理解しやすい。

      • クラウドネイティブ・アーキテクチャ: クラウド環境の特性を最大限に活用する設計思想。コンテナ、サーバーレスなどを積極的に利用。
         

  3. コンポーネント分割と連携方法の設計

    • 内容: アプリケーションの機能を論理的・物理的な単位に分割し、それぞれのコンポーネントがどのような役割を担い、どのように連携するかを設計します。これにより、開発の分担、再利用性、保守性が向上します。

    • 具体的な検討:

      • 機能ごとのモジュール化: 顧客管理、商品管理、注文処理など、独立した機能単位でモジュールに分割。

      • 責任の明確化: 各コンポーネントが担当する責任範囲を明確にする(単一責任の原則など)。

      • インターフェース設計: 各コンポーネント間のデータの受け渡し方法や呼び出し規約(APIの定義、データフォーマットなど)。

      • 疎結合化: コンポーネント間の依存関係をできるだけ少なくし、一方の変更が他方に与える影響を最小限にする。
         

  4. データ構造とデータフローの設計

    • 内容: アプリケーションが扱うデータの構造(テーブル定義、ドキュメント構造など)と、データがアプリケーション内でどのように流れるか(データの入力、処理、出力)を設計します。

    • 具体的な検討:

      • 論理データモデル・物理データモデルの設計: ER図などを利用して、データのエンティティ、属性、リレーションシップを定義。

      • データフロー図: データの入力元から出力先までの流れを可視化。

      • データの整合性: データの一貫性を保つための制約、トランザクション管理。

      • データの永続化方法: リレーショナルデータベース、NoSQLデータベース、ファイルシステムなどの選定。
         

  5. UI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス)の設計

    • 内容: 利用者がアプリケーションを快適かつ効率的に操作できるよう、画面レイアウト、ナビゲーション、操作性などを設計します。

    • 具体的な検討:

      • ワイヤーフレーム・プロトタイプの作成: 画面遷移や主要な要素の配置を設計。

      • ユーザビリティ評価: 利用者が迷わず操作できるか、効率的に目的を達成できるか。

      • アクセシビリティ: 障害を持つ利用者も利用しやすいような配慮。

      • デザインガイドラインの策定: 一貫性のあるUIデザインを実現するためのルール。
         

  6. 技術スタックの選定

    • 内容: アプリケーションを開発・実行するために使用するプログラミング言語、フレームワーク、ライブラリ、開発ツールなどを選定します。

    • 具体的な検討:

      • プログラミング言語: Java, Python, C#, JavaScript (Node.js), Go, Rubyなど。

      • Webフレームワーク: Spring Boot, Django, Ruby on Rails, ASP.NET Core, React, Angular, Vue.jsなど。

      • ライブラリ: 共通機能を提供する既存のライブラリの活用。

      • 開発ツール: IDE, バージョン管理システム (Git), CI/CDツールなど。

      • 技術的なスキルセット: 開発チームのスキルや経験を考慮。

      • コミュニティサポート、将来性: 技術の持続性や問題解決のしやすさ。
         

  7. セキュリティ設計

    • 内容: アプリケーションに対する不正アクセス、情報漏洩、改ざんなどのリスクを最小限に抑えるための対策を設計に盛り込みます。

    • 具体的な検討:

      • 認証・認可: ユーザーの身元確認と、アクセス権限の管理。

      • 入力値検証: SQLインジェクション、XSSなどの脆弱性対策。

      • セッション管理: セッションハイジャック対策。

      • 暗号化: データの送受信や保存時の暗号化。

      • エラーハンドリング・ログ管理: 不正アクセス検知や障害時の原因特定に役立つログの取得。

      • 脆弱性診断: 開発段階での脆弱性テストの計画。
         

  8. テスト戦略と品質保証

    • 内容: アプリケーションの品質を確保するためのテスト計画と、その設計への反映を行います。

    • 具体的な検討:

      • テストレベル: 単体テスト、結合テスト、システムテスト、受け入れテストの計画。

      • テスト自動化: 自動テストの導入と設計への組み込み。

      • テストカバレッジ: どれだけのコードがテストされているか。

      • 品質メトリクス: バグ密度、テストパス率など。
         

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