miraipm
TOP
space
サークル紹介
space
ナレッジ
space
コミュニティ
space
space ホーム spacespace ニュース spacespace ログイン
space
 現在位置:ナレッジ >> 業務知識 >>TBMフレームワークとは スライドモード

TBMフレームワークとは
「Technology Business Management」
投稿者:u187
投稿日時:Thursday, January 23, 2025


TBMフレームワークの基本定義

TBMフレームワークとは、「Technology Business Management(テクノロジー・ビジネス・マネジメント)」の略で、IT部門のコストとパフォーマンスをビジネスの視点から可視化し、管理するためのフレームワークです。

TBMフレームワークは、特にCIO(最高情報責任者)、CTO(最高技術責任者)、CFO(最高財務責任者)などが、IT投資の意思決定を行う際に活用される重要なツールとなっています。クラウド化が進む現代において、複雑化するITコストを管理し、ビジネス貢献を最大化するために注目されています。

 

主な活用場面

具体的には、以下のような目的で活用されます。

  • ITコストの透明化: サーバー費用、人件費、ライセンス料、クラウド利用料など、ITにかかるあらゆるコストを明確にし、どこにどれだけ投資されているかを把握します。

  • ビジネス価値の最大化: 単なるコスト削減だけでなく、IT投資がビジネスにどのような価値をもたらしているのかを評価し、IT投資を最適化することでビジネス全体の価値を最大化することを目指します。

  • IT部門とビジネス部門の連携強化: IT部門がビジネス部門に対して、ITサービスがどのようなコストで提供されているか、どのような価値を生み出しているかを明確に説明できるようにすることで、両者のコミュニケーションを強化し、より戦略的な意思決定を支援します。

  • データに基づいた意思決定: 財務データ、運用データ、クラウド料金など、様々なIT関連データを集約・整理し、客観的なデータに基づいてIT投資やIT戦略に関する意思決定を行います。

  • IT財務管理のベストプラクティス確立: IT予算の策定、差異分析、予測など、IT財務管理におけるベストプラクティスを確立し、効率的な運用を可能にします。

 

5つの主要要素

TBMフレームワークには、主に以下の5つの要素が含まれています。これらは相互に連携し、ITコストの可視化、管理、そしてビジネス価値の最大化を実現します。IT部門は自身の活動をビジネスの言葉で説明し、IT投資の透明性を高め、最終的にビジネス価値の最大化に貢献することができます。

  1. TBMフレームワーク(TBM Framework):

    • TBMの基本的な考え方、原則、IT部門が目指すべきゴールなどを定義するコアとなる部分です。

    • ITとビジネスの連携を促進し、データに基づいた意思決定を可能にするための「規律」や「対話」の概念も含まれます。

  2. TBMタクソノミー(TBM Taxonomy):

    • ITコストやリソースを標準化された階層構造で分類するための定義体系です。

    • これにより、財務データ、運用データ、クラウド料金など、様々なIT関連データを一貫した形で整理し、分析することが可能になります。

    • 主な分類階層としては、データソース(会計システムなど)、コストプール(人件費、ソフトウェア費など)、ITタワー(サーバー、ネットワーク、ストレージなどITサービスを構成する要素)、アプリケーションとサービス、そして利用部門などがあります。

  3. TBMモデル(TBM Model):

    • TBMタクソノミーで分類されたコストを、ITサービスや利用部門に配賦するためのロジックや計算方法を定義します。

    • これにより、各ITサービスがどれだけのコストで提供されているのか、どの部門がどれだけのITリソースを消費しているのかを具体的に把握できます。

  4. TBMメトリクス(TBM Metrics):

    • IT部門のパフォーマンスやIT投資のビジネス貢献度を測定するための主要な指標(KPI)です。

    • 例としては、サービスごとのコスト対効果(Cost-for-Performance)、イノベーションへの投資比率、ITコスト最適化の進捗などが挙げられます。

    • これらのメトリクスを用いて、ITの効率性や有効性を評価し、ステークホルダーとのコミュニケーションに活用します。

  5. TBMシステム(TBM System):

    • 上記のTBMフレームワーク、タクソノミー、モデル、メトリクスを実現するための技術プラットフォームやツールを指します。

    • 様々なIT関連データを取り込み、TBMタクソノミーに基づいて分類・整理し、TBMモデルで配賦計算を行い、TBMメトリクスとして可視化する機能を提供します。

    • これにより、手動でのデータ集計や分析の手間を削減し、データに基づいた迅速な意思決定を支援します。

 

活用する際の注意ポイント

TBMフレームワークを実際に活用する際には、その導入と運用を成功させるために、いくつかの重要な注意点があります。

これらのポイントに注意しながらTBMフレームワークを導入・活用することで、IT部門はより戦略的なビジネスパートナーとなり、企業の競争力強化につなぐことが期待できます。

  1. 経営層・リーダーシップ層のコミットメントが不可欠:

    • TBMはIT部門だけでなく、財務部門や各ビジネス部門を巻き込む大規模な変革です。経営層、特にCIOやCFOの強いリーダーシップとコミットメントがなければ、データの収集、部門間の協力、そして最終的な意思決定プロセスにおいて課題に直面する可能性が高いです。

  2. 目的とゴールの明確化:

    • TBMを導入する目的(例:コスト削減、クラウド移行の最適化、IT投資のビジネス貢献度向上など)を具体的に定め、関係者間で共有することが重要です。目的が曖昧だと、効果測定が難しくなり、プロジェクトの推進力が失われる可能性があります。

  3. データ品質の確保と継続的な管理:

    • TBMは正確なデータに基づいて成り立っています。財務システム、IT資産管理システム、クラウド利用料データなど、様々なソースからデータを集める必要がありますが、これらのデータの精度や粒度が低いと、分析結果の信頼性が損なわれます。データの自動化と継続的なクリーンアッププロセスが重要です。

  4. スモールスタートと段階的導入:

    • 一度にすべてを完璧にしようとすると、複雑さが増し、挫折するリスクが高まります。まずは一部のITサービスや部門からTBMを導入し、成功体験を積んでから段階的に適用範囲を広げていく「スモールスタート」が推奨されます。

  5. コミュニケーションと関係者間の協力:

    • TBMはIT部門の「見えない」部分を「見える化」するプロセスであり、既存のITコスト配賦方法や予算管理に対する理解と協力が必要です。IT部門、財務部門、ビジネス部門間で密なコミュニケーションを取り、TBMの価値とメリットを根気強く説明し、協力を促すことが成功の鍵です。

  6. 適切な人材の確保と育成:

    • TBMを運用するには、ITの知識だけでなく、財務、会計、データ分析のスキルを持つ人材が必要です。既存の人材のスキルアップを図るか、外部から専門家を招くことも検討が必要です。

  7. ツールの選定と活用:

    • TBMの導入を支援する専用ツール(Apptio, Cloudabilityなど)が多数存在します。自社の要件や予算に合わせて最適なツールを選定し、その機能を最大限に活用することで、データ収集、分析、レポート作成の効率が大幅に向上します。

  8. 結果に基づいた行動と継続的な改善:

    • TBMは単なる「見える化」で終わらせてはいけません。可視化されたデータに基づいて、IT投資の最適化、コスト削減、サービス改善などの具体的な行動に繋げることが重要です。また、市場環境や技術の変化に合わせて、フレームワーク自体も継続的に見直し、改善していく姿勢が求められます。

 

推進するときに想定される難点

TBMフレームワークで仕事を推進する際の難点は多岐にわたりますが、主なものとして以下が挙げられます。

これらの難点に対し、上述の「活用する際の注意ポイント」で述べたように、経営層の強いコミットメント、段階的な導入、丁寧なコミュニケーション、そして適切なツールの活用が成功の鍵となります。

  1. データの統合と品質確保の難しさ:

    • TBMは財務データ、IT資産データ、クラウド利用データ、運用データなど、様々なシステムに散在するデータを統合して分析する必要があります。これらのデータソースがサイロ化していたり、フォーマットが不揃いだったり、そもそもデータが不正確・不完全である場合が多く、収集とクレンジングに膨大な時間と労力がかかります。

    • 特にレガシーシステムや手作業での記録が多い場合、データの信頼性を確保することが大きな障壁となります。

  2. 部門間の協力と抵抗:

    • TBMはIT部門だけでなく、財務部門、各ビジネス部門が関与します。ITコストの透明化は、これまで見えなかった部分を「見える化」するため、特定の部門にとってはコストが増えたように見えたり、説明責任が求められたりすることから、抵抗が生じることがあります。

    • 既存の予算プロセスや会計処理を変更することへの抵抗も少なくありません。

    • 部門間の利害調整や共通理解の醸成が非常に難しい場合があります。

  3. TBMタクソノミーへの分類の複雑性:

    • TBMタクソノミーに沿ってITコストを分類することは、特に初期段階では非常に複雑で時間がかかる作業です。どの費用をどのITタワー、どのアプリケーション、どのサービスに紐付けるかについて、明確なガイドラインや専門知識が不足していると、分類の一貫性が保てなくなり、分析結果の信頼性が低下します。

    • ITサービスが多岐にわたるほど、その紐付けは複雑になります。

  4. TBMモデル(コスト配賦ロジック)の構築と合意形成:

    • ITコストをビジネスサービスや利用部門に配賦するためのモデル構築は、高度な分析スキルとビジネス理解を要します。また、その配賦ロジックに対して関係部門から合意を得るのが非常に難しい場合があります。

    • 「なぜこのサービスがこのコストなのか」「なぜ我が部門にこれだけのコストが配賦されるのか」といった疑問や異論が出ることは避けられず、納得感のある説明と調整が常に求められます。

  5. ツールの導入と使いこなし:

    • TBMの推進を支援する専用ツール(Apptioなど)は強力ですが、その導入には高額な費用と専門知識が必要です。また、ツールを導入しただけでは活用できず、社内のデータとの連携、カスタム設定、そして利用者のトレーニングなど、使いこなすまでに相当な時間と労力がかかります。

    • ツールの機能と自社の要件とのミスマッチも問題になることがあります。

  6. 短期的な成果が見えにくいことによるモチベーションの維持:

    • TBMはITコストの管理基盤を構築するものであり、すぐに目に見えるコスト削減効果が出るわけではありません。初期投資や労力が大きいにもかかわらず、短期的な成果が見えにくいことから、プロジェクト関係者のモチベーションを維持するのが難しい場合があります。

    • 経営層や現場からの「いつになったら効果が出るのか」というプレッシャーに対応する必要があります。

  7. 人材とスキルセットの不足:

    • TBMを推進するには、IT知識、財務会計知識、データ分析スキル、そしてコミュニケーション能力を併せ持つ人材が不可欠です。このような多角的なスキルを持つ人材は希少であり、社内での育成も時間を要します。

 

ITコストのおもな費目定義

TBMフレームワークにおけるITコストの費目は、TBMタクソノミーによって標準化された階層構造で定義されています。最も基礎的なレベルは「コストプール(Cost Pools)」と呼ばれ、企業の総勘定元帳(General Ledger)と整合性を持つように分類されます。

以下に、TBMフレームワークで推進するITコストの主な費目と内容を表形式で示します。これらは一般的な分類であり、企業の規模や特性によって詳細度が異なる場合があります。

TBMは、これらの費目を「コストプール」から「ITタワー」へ、さらに「アプリケーション/サービス」へと集約し、最終的に「ビジネス部門」へ配賦することで、ITコストをビジネスの視点から理解できるように可視化することを目指します。

費目カテゴリ(TBMタクソノミーの層) 費目の名称(例) 内容
コストプール(Cost Pools)
(財務視点でのIT支出の基礎分類)
人件費(Labor) 社員(正社員、契約社員、派遣社員など)の給与、福利厚生費、ボーナスなど、IT関連業務に従事する人員にかかる費用。
  ソフトウェア(Software) オペレーティングシステム、アプリケーションソフトウェア、データベース、ミドルウェアなどのライセンス費用、保守費用、サブスクリプション費用(SaaS含む)。
  ハードウェア(Hardware) サーバー、ストレージ、ネットワーク機器、PC、周辺機器などの購入費用、減価償却費、リース費用、保守費用。
  施設費(Facilities) データセンター、サーバー室、IT部門のオフィスなどの賃料、光熱費、維持管理費、セキュリティ費用。
  通信費(Telecom) インターネット回線費用、電話回線費用、専用線費用、モバイル通信費用など、IT関連の通信にかかる費用。
  外部サービス(External Services) コンサルティング費用、アウトソーシング費用、クラウドサービス利用料(IaaS, PaaS)、保守契約費用など、外部ベンダーから購入するIT関連サービス費用。
  間接費(Overhead/Indirect Costs) IT部門全体で発生するが特定のITサービスに直接紐付けにくい費用(例:IT部門の管理職の人件費の一部、共通のオフィス用品費、研修費など)。これらは後に各ITタワーやサービスに配賦されます。
ITタワー(IT Towers)
(ITリソースの技術的分類)
サーバー(Compute) 物理サーバー、仮想サーバー、クラウド上の仮想マシンなどのコスト(ハードウェア、ソフトウェア、運用人件費など)。
  ストレージ(Storage) データ保存に必要なストレージ機器、クラウドストレージの利用料、関連する運用・保守費用。
  ネットワーク(Network) ネットワーク機器、回線、通信インフラ、関連する運用・保守費用。
  データセンター(Data Center) データセンター施設の利用料、電力、冷却設備、物理セキュリティなど、データセンター全体にかかる費用。
  エンドユーザーコンピューティング(End User Compute) 社員が利用するPC、モバイルデバイス、関連ソフトウェア、ヘルプデスク、デバイス管理などの費用。
  アプリケーション(Applications) 各業務アプリケーションの開発、運用、保守にかかる費用。複数のITタワーのコストを集約して算出されることが多いです。
  データ(Data) データベース管理、データウェアハウス、データ分析基盤など、データ管理・活用にかかる費用。
  セキュリティ(Security) セキュリティソフトウェア、セキュリティ機器、セキュリティ監視サービス、セキュリティ専門家の人件費など。
アプリケーション/サービス(Applications/Services)
(ビジネスへのIT提供形態)
ERPシステム 会計、人事、生産管理など、基幹業務を統合するシステムにかかるITコストの総計。
  SFA/CRMシステム 営業支援、顧客管理システムにかかるITコストの総計。
  メールサービス 社内メールシステムやクラウドメールサービスにかかるITコストの総計。
  Webサイト/ECサイト 自社のWebサイトやECサイトの構築・運用にかかるITコストの総計。
  ヘルプデスクサービス 社内からのITに関する問い合わせ対応にかかるITコストの総計。
ビジネス部門/機能(Business Units/Functions)
(ITサービスを利用する部門・機能)
営業部門 営業部門が利用するITサービス(SFAなど)に配賦されるITコスト。
  マーケティング部門 マーケティング部門が利用するITサービスに配賦されるITコスト。
  製造部門 生産管理システムなど、製造部門が利用するITサービスに配賦されるITコスト。
  管理部門 人事、経理などの管理部門が利用するITサービスに配賦されるITコスト。

 

miraipm サイト概要 最新コンテンツ ニュース グループリーダーの言葉

Mobileモード